誠実なサーバントの如く

K子が暑い中やってきた。いつもの衣類の入れ替えのためだ。遅ればせの「父の日」で来たのではない。それでも夫はK子の来訪をひたすら待つ。父親にとって娘の存在は同性の母親との関係と全く異なるようだ。朝の散歩も私が促さなければ行かなかっただろう。出掛けたけれどそれはいつもの半分の長さだった。K子は来たには来たが忙しく父と話す時間は寿司屋での短い食事の時間だけ。それでもとても幸せそうな表情で話していて二人の間に私の入り込む隙などこれっぽっちもない。帰り行く娘のためさっと駅まで車を出す夫はさながら誠実なサーバントの如く。
それにしてもなんという忙しさ。我が家でお茶の一杯も飲まなかった。今日もこれから予定があると言って帰って行った。仕事も忙しくて残業が夜中までというのを聞いて母の私は「これはおかしい。これでは体を壊す」と思った。一流会社なら社員の扱いも一流であってほしい。