マリア カラス、リリー ポンス、「鐘の歌」

プラハのスーパーで買った150円のCD「マリア カラス」は内容が良いので虜になってしまった。CDジャケットはぱっとしないしどうしようかと思ったが値段が安いからまあいいか、と買った。帰国して聴いて驚いた。1950年代の絶頂期のカラスを集めたものだった。「清らかな女神」「歌に生き恋に生き」「あの人の優しい声が」、、、みんな素晴らしい。しかし一番感激したのが「ラクメ」の「鐘の歌」だ。コロラトウーラの素晴らしさを遺憾なく発揮した美しい歌唱に感激ひとしおだ。
感激したのには訳がある。「鐘の歌」には少女時代の思い出があるのだ。父と観たアメリカ映画「カーネギー ホール」の中でリリー ポンスがこれを歌っていた。歌い終わって深々と腰を折って挨拶する姿がまたエレガントで美しかった。この長く難しい曲をこともなげに歌う美しい容姿のポンスが中学生だった私の心に焼き付いた。この映画を戦後のあの時代、観に連れて行ってくれた父に今感謝。半世紀を越えて私の心に住みついて来た「鐘の歌」を初めて聴くチャンスを与えてくれたのだから。