タトウー、入れ墨のある方はご遠慮ください

夫と都心に出ると最後に夫はラクーア蛇骨湯に寄る。ラクーアに行くときは私も付いていってつかの間の昼寝を楽しむことにしている。夕食の準備を抱えている私は遠い蛇骨湯にはあまり行く事はない。
温泉施設には必ず「タトウー、入れ墨のある方はご遠慮ください」と表示してある。しかし蛇骨湯にはこんな表示がない。浅草の花街近くのこの温泉でそんな表示はそぐわないし、そんな事を表示したら回りから文句が出ること、間違いないだろう。
一年ほど前に行った時のこと、まだ真っ昼間だったからおんな湯も人は少ない。そこに入って来たスタイル抜群の女性をちらりと見てその見事な入れ墨にびっくりした。背中は勿論、胸も下腹も豪華な龍の入れ墨が飾っている。それはそれは見事だったので恥ずかしながらわたしは何度か盗み見をした。顔なじみと話す様子でこのあたりの花街に働く人だと思った。相当お金と時間がかかっているはずだ。
今朝海辺に行くと爽やかな風の中、一人の男性が半裸で釣り場のほうに歩いていくのが見えた。彼の背中にも半分くらい入れ墨が。傍にいた連れが、あの人はこの辺りの漁師だった人だけれどあの入れ墨はどうやらお金が続かなくて中途半端になったようだなとつぶやいた。