Cav and Pag

今夜はとびきりのゆうべだった。パレルモ・マッシモ劇場のCav and Pagを観た。期待以上、ずっとずっと素晴らしかった。どちらの演目の出演者も思いに違わぬ声質、声量、声に込めた感情、演技を披露してくれた。70人強のコーラスは迫力十分だ。「カヴァレリア・ルスティカーナ」は大きな階段を生かした、シンプルだがドラマの展開を理解し易いよい舞台装置だった。この数週間「カヴァレリア・ルスティカーナ」ばかり聴いて、描いていたこの演目の世界が広がっていて満足だった。今夜はそれにも増して「パリアッチ」にしびれた。ネッダが歌う「鳥の歌」もカニオの「衣装をつけろ」も皆良かった。色彩の美しいステージだった。DVDで次々とオペラを楽しんでいるが目の前で生の歌い手が演ずる舞台に勝るものはないなあと甚く感動した。
オーチャードホールへ行くとき面白い事があった。地下鉄の駅から地上に上がって気が付くと私は12、3人の外国人の中にまぎれていた。若い人、中年の人、男性も女性も。お腹がぐっとせり出した大きな男性が西村フルーツパーラーのショウウィンドウに鎮座している四角いスイカを写真に収めた。皆イタリア語を話している。ちょっと注意深く見ると彼らは皆首からマッシモ劇場の写真のついた名札を付けているではないか。それでちょっと話しかけてみた。品川のホテルから地下鉄でホールまでやって来たのだと言う。歌い手ならもっと早く楽屋入りをするだろうからどんな役割のメンバーだろうか。聞きそびれた。中年の女性が良いとき日本に来たと言うから、今は梅雨で余りいい天気じゃないけれどあなたのお肌と喉には良いでしょうと言い、ホールの前で握手して別れた。