先週末メトロポリタン オペラでネトレプコの「清教徒」を観て以来、ずっと私は「清教徒」で過ごしている。若いアンナがステージ一杯に見せる歌と演技には恐れ入る。ステージに仰向けで歌い続けるためにどんなスタミナを備えているのか、どんな訓練をしているのか、驚いてしまう。それにしても愛らしい人だ。東京のコンサートで見せていたあのお茶目なところがメトのバックステージの映像でも健在だった。
グルベローヴァの「清教徒」は本当に心に残る素晴らしいDVDだ。歌でエルヴィーラの心を描ききっていると思う。柔らかい茶系統の美しくシンプルなステージでエルヴィーラの悲しみが引き立っている。何度観ても飽きない。ネトレプコもこれからさらに積むキャリアの中でグルベローヴァのような深い心のひだを演じられるようになるのだろう。
これに加えてCDは古いカラスとディ・ステファノのミラノ スカラ座版、デヴィーアとマッテウッツィのカターニア ベッリーニ劇場版を聴いた。私は後者のCDが大好きだ。デヴィーアもいいし、なんと言ってもアルトゥーロ・タルボはマッテウッツィに勝る人はいないように思える。どんな高い音もぶれず伸びやかに歌うのだから。今日は何度「A te o cara」を聴いたことか。