カウンターテナーに酔う

浜離宮ホールで買ったドミニク・ヴィスの『Toru Takemitsu・Songs』を繰り返し聴いた。彼の音色に本当に合っているなあと思う。でもなんだかさみしくなってしまう音の連続だとも思う。日本語の発音はクリアーで詩が心に深く刺さる感じだ。
昨夜はいつもCDで聴いているヴィスの生の声を初めて聴いた。14曲を熱唱、更に武満の「燃える秋」とオッフェンバックの「ほろ酔いの歌」(ほろ酔いの女の演技も面白かった)がアンコールだった。彼が目の前で歌っているということだけで私には十分だった。コンサート前半で歌ったバロック時代のものが好き。彼によく似合う。後半で歌ったもので好きなのはサンサーンスの『ル・シッド』の「泣け泣け、わが瞳よ」とオッフェンバックの『ジェロルスティーン大公妃』の「ああ、私は兵隊さんが好き」(初めて聴いた)の2つ。ホールはヴィスのファンで一杯。聞くともなしに聞こえて来た後ろの人の会話では彼が買ったチケットが最後の3枚だったとか。見回してみるとこのコンサートのために来たという感じの人ばかりのようで、CDはとにかく初めての人は私くらいであまりいなかったのでは。