きつねうどんを食べに

成人するまで故郷の大阪で過ごした夫も東京を中心に関東地方で生活した年月の方がずっと長くなった。50年を優に越えている。その中で彼の大阪弁のアクセントやイントネーションはどんどん薄まってしまった。今日はまず表参道で用事をすませてから渋谷まで行くという。渋谷?なんのために?黙って付いて行くと行った先はデパートの「浪速うまいものフェア」といった大阪の物産展だった。会場はもの凄い人ひと人。その人ごみを縫ってたどり着いたところはきつねうどんを食べさせるコーナーだった。いくら故郷を離れても子供の頃から慣れ親しんだ味は鮮明に覚えているだろうし懐かしいものなのだろう。そのきつねうどんのために渋谷まで行ったということ。だいぶ長い列ができていたから暫く待った。やっと食券を買う番になると夫は「きつねうどん2つ」と正調大阪弁で頼んだのであった。うどんのお味は、、、薄口醤油で味を整え、上に甘みを利かせて煮た油揚げがのった、おいしく見た目も美しいきつねうどんだった。