持ち物が少ない簡素な生活を

衣類の出し入れの季節が来るとため息が出る。どうしてこんなに多様な物を所持してしまったのかと。もっと簡素に過ごせないものか。私にしたって物を手当たり次第買うというタイプでもないが改めて回りを見回すと似たような物が二重にあったり一貫性がない。
その昔30年近く前の海外移住のとき夫が私に命じたのは私物は兎に角1人につきトランク(今こんな単語を使う人がいるかしら)1個で、という事だった。外の物は全て現地調達でという。家族5人の共通の持ち物用の大きなケースはあったもののそれまでの生活で使用していた数々の物と別れての生活だ。
しかし人というものはそういう状態にもすぐ慣れるものだ。私たちのジュネーブでの生活は家具付きのアパートで少しのばたばたはあったものの至極自然にスタートした。かえって雑多な物がなくよく考えた少ない物の中の生活の心地よさがあったように思う。
結婚以来6回も引っ越しを重ねた我が家だから引っ越しの度に随分物を整理して来たとは思うがもう今となっては知らず知らずのうちに買い込んだ大量の書籍をはじめ物の中で身動きができないままだ。