ヘレン トロウベル、ゲルハルト ヒッシュ

「知り合いに会いそうだから、、、」というので隣町まで車で行った。駅前のこぎれいなカッフェで腰をかけた。F夫人は10年以上前の講座の出席者としてその後もつかず離れずの関係を保って来た人だ。趣味の話をしているうち我々の過去の経験が似通っているのが分かった。
初めてクラシックのコンサートに行ったのがヘレン トロウベルというアメリカの歌手だった。日比谷公会堂のどこかで私たちはすれ違っていたのかも知れない、など昔を懐かしんだ。Fさんは両親に学校で先生が聴くように言ったから、と話して8000円の一番いい席をせしめたそうな。私は値段も何もかも忘れたがとにかくその声量に圧倒された。次に行ったのがゲルハルト ヒッシュというドイツのバリトン。私はこの人を最前列で聴いた覚えがある。シューベルトの「冬の旅」だった。音楽とは関係ないがステージの頭上から届く照明の強い光のなかで埃が舞っていたのが印象に残っている。その後彼の「冬の旅」のSPレコードを買い込み飽きる事なく聴いたものだ。この辺が私の音楽鑑賞事始めだった。全く同じような経験を持つFさんと懐かしい少女時代を辿った。