父の生家

父の生家の墓所には50基を越える古い墓がある。一番古いものは元禄に建立されたもの。ここは中山道の宿場町で父の家の始まりはこの町の始まりと時を同じくするらしい。ここには同じ姓を持つ家が2軒。家業の絹糸の商売も結婚もお互いに持ちつ持たれつで300年以上両家を没落させることなく永がらえて来たという。去年の従兄の死の後息子は古い古い仏壇を整理したようだ。大きな仏壇の中には先祖に関するものがいくつも納められていた。それらのものをつなぎ合わせるといろいろなロマン溢れる想像が成立する。今日は皆で私の父や伯母、叔父に関する興味深い話をたくさんした。もし私に卓越した文才があったら恋物語の一つや二つ書けるだろうに。
最後におかしかったのがお盆とお彼岸の話。墓参の折普通の家なら大きな花束を墓の両サイドに飾るところこの家では50基以上の墓のご先祖様に平等に花1りんで我慢してもらうのだそうだ。花とお線香だけでも大した物入りだからとK子さんはくすっと笑った。