家族に一箱

古い古い文箱がいくつかある。その一つには大学生の頃から十数年受け取ったアメリカ人の手紙がぎっしり詰まっている。その頃彼女は既に60歳くらいで良き家庭人として2人の子供を育て上げ、良きアメリカ人としてボランティア活動に精を出す人だった。手紙の中には毎年受け取ったバレンタインズデーのグリーティングカードも含まれている。ほとんどがホールマーク社製のもので、色はピンクや白が主体でエンゼル、ハート、バラの花などがあしらってある。
バレンタインズデーなるお祝いがあることを初めて知ったのはこれを遡ること数年、ミッションスクールに入学したときだった。ネイティブの英語の先生がバレンタインズカードのデザインコンクールをやったのだ。クラスメートと思いっきりかわいらしいカードをデザインして参加したものだ。教室の廊下に張り出されたクラスメート作をあれこれ批評し合ったのを思い出す。
仕事の帰路パンを買うため入ったデパートの地下食品売り場は今日びっくりするほど華やかだった。クリスマスシーズンに匹敵するほど。あの人もこの人も義理でも本命でもチョコレートを買う日が定着したなあと思った。私も家族に一箱、明日会うYさんにも義理チョコを一箱買った。