ヴェルディ「レクイエム」

東京オペラの森公演ヴェルディ「レクイエム」を聴いた。CDでは何度も聴いている宗教曲だが生で聴くのは初めて。最強と思える4人の歌手を得てリッカルド ムーティの指揮は素晴らしかった。指揮する後ろ姿は彼の激情を表現していたが時折見える横顔にはいつものように威厳に満ちた表情が見て取れた。冒頭のピアニッシモで始まる部分はスリル満点。誰かが咳をしやしないか、プログラムをバサッと落としはしないかと。フリットリは譜面なし。「レクイエム」も彼女のレパートリーと知れば当然なのかもしれない。バスのダルカンジェロは聴いてみたかった歌手だ。素敵な声の持ち主だ。どうでもいいことだがこの歌手は「大天使」なんて凄い名字の持ち主だから先祖はどんな職業だったのかなんてつまらないことも考えていた。今日は休憩がなく7時10分に始まって8時50分まで通しの演奏だった。歌手達は飲み水を足下に置いて時々喉を潤しながらの公演だった。コーラスも大健闘だった。狭い木の板に座って2時間近く、しかし名指揮者ムーティとの「レクイエム」競演でまだ興奮さめやらぬ状態かもしれない。