益子へ

穏やかな天候の中北関東へドライブした。笠間と益子。柏で高速にのる前に渋滞に巻き込まれて笠間に到着した時は12時をだいぶ回っていた。益子はずっと行ってみたいと思っていた所。笠間から峠越えをして町の外れにさしかかった時はこの町は昔とさほど変わらないたたずまいの町かと思った。まず入った古物商の店先で店番のおじさんに町の様子を訊ねて情報を集めた。あちこち覗いて最後にたどり着いた所は町の中心できれいに整った町並みの中にある益子陶芸美術館だった。
子供の頃から友人と話す父の美術談義を膝の上で聞いていた私には懐かしい陶芸家の名前が次から次へと思い出された。濱田庄司バーナード・リーチ、富本憲吉、河井寛次郎、、、益子焼は、わたしが子供の頃田舎の台所には必ずあった。漬け物やみその保存用かめ。それからご飯茶碗に使われていた。時を経て次に益子焼の変貌した姿を見たのが学生時代のこと。親しくしていたアメリカ人のディナーに招待された時ステーキが美しい益子焼の黒光りした肉皿にのって運ばれて来た。こんな使い方があるのかと感嘆した。北関東の田舎へ行くと味噌のにおいがこもった台所の食卓に必ずあった益子焼のご飯茶碗が余り好きではなかった私には新鮮な驚きだった。そういえばこの家の主婦、キャロラインは濱田庄司バーナード・リーチの名前をよく口にしていた。そんなことを思い出しながら美術館を見て回った。
「何か買わないの?」と夫に言われて町中で益子焼本来の色の漬け物用器と益子在住の外国人作家の小ぶりの盛り皿を1枚買った。一寸楽しい小ドライブ旅行だった。