香り2つ

仕事先に到着すると受講のYさんが近付いて来て「昨夜作りました。どうぞ」と小さな紙袋を差し出した。小さな紙袋の中身は説明がなくても察しがついた。ラベンダーの何とも穏やかな香り、、、そして可愛らしい匂い袋が現れた。Yさんはこの土地の方。広い庭にラベンダーをはじめ色々なハーブを植えて食生活に日常の様々な場面に活用していると聞いていた。ロハス生活の実行者だ。帰路の電車の中ではこの匂い袋を胸のポケットに入れてみた。ずっと顔近くで匂って疲れが癒えて行くようだった。
帰宅するとテーブルの上にU市のMさんからの達筆の封書が置いてあった。香がたき込められた暑中見舞いだった。去年仕事でタッグを組んだ人であのとき以来のおつきあいだ。いつもそう連絡し合う仲ではないが一通の手紙でぐっと気持ちを引きつけ合う事が出来る人。ご主人の仕事の関係でニューヨーク滞在が長かった彼女はメト仕込みのオペラファンでもあるが今日得た近況報告によると最近は歌舞伎と落語に魅力を感じているようだ。何かと忙しくて疲れ気味のわたしに香りのプレゼントが2つ。嬉しい日だった。今夜から代わる代わる枕元に置いて寝よう。