満月の夜に

ハーブを摘みに日が暮れた庭に出た。頭上に満月がくっきりとあった。ほんとうに美しい満月。大好きなアリア「月に寄せる歌」をハミングしてみた。しかし今年の満月の宵は異常。日中からの残暑の高温がまだ辺りを占めている。窓を閉め切ってエアコンの動いている室内には虫の音も、月の姿も届かない。
遅くなってK子が来る。残業をこなしてからだから到着したのは9時を回っていた。挨拶もそこそこに、10月のストラスブールは寒かろうと渡航に持って行く衣類をスーツケースに詰めて11時に都内へ帰って行った。夫はたいして相手もしてくれない娘を最大限のサービスで駅まで送って行った。K子の「パパ、有り難う、元気でね!」の一言と笑い顔で満足する夫である。