50分の1

大学を卒業していつの間にか50年が過ぎた。久しぶりにTさんに電話した。50人のクラスメートのうち、時に連絡する人はたった4人しかいない。Tさんはその中の1人だ。話しているうちに盛り上がって首都圏にいる人だけにでも声をかけて集まりましょう、ということになった。クラス会は或る年の幹事を引き受けた人が開催を忘れたまま立ち消えになっていた。言い出しっぺの一人としてあちこちに電話しまくっている。音信不通の人、天国に旅立った人、家族の介護でご苦労の人とさまざま。70歳をこえれば致し方ない事とは言え人生の山、谷を感じてしまう。電話するとどの人も私の電話を引き延ばす。1本の電話が過去を今に蘇らせるのだろう。話したい事が一気に押し寄せて来る感じなのだ。こちらも冷たく「じゃあ、、、」と言えない。まだ電話しなければならないところがあるのに、と思いつつも。返事は「参加」が増えている。どうしてかなあと考える。今どうしようもなく変わりつつある日本と日本人の心。昔の大学生はその中で今より昔の友に何か温もりを求めたのかもしれない。嬉しいことには50分の1に過ぎない私を皆が覚えていてくれた。