本当にSさん?

3週間ほど前、仕事で知り合ったSさんから久しぶりに会いたいと電話があった。それで今週はゆったりしているから会いましょうということに。今日がその日。ここ2年近く会っていないのでお互いに分かるかしらと不安に駆られた。約束の駅前に到着するとあらかじめ聞いておいた携帯に電話をかけなくては、と焦る。辺りを見回して公衆電話をさがそうとしているとき名前を呼ばれて無事に再会出来た。名前を呼ばれたから良いけれどわたしのほうから彼を探すことは出来なかっただろう。勤めを辞めて自ら会社を立ち上げたSさんは外面もすっかり変貌を遂げていたのだ。きっちりしたビジネスマンスタイルからソフトな雰囲気に変わっているのだ。ちょっと髪を長めにカットし、柔らかな線のスーツ姿だ。眼鏡は止めてコンタクトレンズだと言う。すっかり印象が変わっていて本当にびっくり。喫茶店で喋ってみれば2年前の彼と違いはなく大らかで率直なSさんだった。格好を付けることなく仕事に燃える毎日を語っていた。独立して2年弱。クライアントに対して誠実な良い仕事をしてほしいわ、と言って別れた。