一人遊び

知り合いのYさんは外出は誰かと一緒でないと出来ないと言う。ましてやカフェでお茶も飲めないし、食事も一人では店に入れないというのだ。根っからの箱入り娘、、、ということだろうか。わたしよりまだ幾つも年下なのに。さぞ不便な事だろう。
こちらはささやかな仕事に付いているうちにそういう点はみんな克服した。食事やお茶にも店は選ぶが一人で入れる。一人の方がいいことも幾つもある。映画は絶対一人だ。展覧会は、、、これは夫とも、時間が合えば娘達ともまた友とも連れ立って行く。コンサートは?これは一人。去る10日のコンサートでは一人故に若い女性と目が合いそれから最後までいい会話をした。夫をアクセサリーのように引っ張って行くことは、相手も迷惑だろうしわたしも気を使いたくないのでしない。論文を書いて勉強して、読書と散歩をこよなく愛する人はそっとしておけばいいのだ。夫と一緒は美味しいものを食べる時、ドライブの時、秋葉原回りの時、本屋巡りの時くらい。
今日はその一人遊びの日。案内が来ていた彫刻展ついでに山野楽器に出掛けた。毎年この暑いときの彫刻展なので出掛けるのは勇気がいる。
Y先生の作品はわたしが知っている限りご本人の故郷の自然を意識してその土地の持つ朴訥さをも表現している力強い作品が多いと思っていたが今日の作品はなにかずっとスマートな感じがした。亡くなった多摩美の峯先生の遺作が置いてあり先生の写真にもお会い出来た。懐かしく思う。峯先生もわたしの叔父も西武が開発した池袋芸術村(またの名、池袋モンパルナス)と今言われている豊島区長崎の住民だった。その昔貧乏芸術家がアトリエ付きの小さな家を求めて集って来た所である。叔父が亡くなった時家の片付けでお世話になった。
峯先生の作品には北海道へ行ったときにも大通り公園で会った。写実的ないい作品をつくる方だった。わたしの小机の上には先生からいただいたブロンズ、雄牛の背中に仰向けになったエウロパの小さい姿がある。帰宅してしみじみ見た。