フランスの土産話を

帰宅するとすぐ包装を外して聴き始めた。カサローヴァ4枚目のCD。買ったのはデビューアルバムだから彼女の活躍を遡って聴いているわけだ。力強くそしてつややかな音色が魅力的。ベルリオーズラヴェルショーソンなどフランスの作品で初めて聴く曲が半分もある!
夜になって山のようなシャツのアイロン掛けに悪戦苦闘していると電話が鳴った。受話器から聞こえたのは懐かしいUさんの声だった。「お帰りなさい!」フランスから1年数ヶ月ぶりの帰国だ。しかし前回はお互いに忙しく電話で話しただけだった。彼女は「いっぱい話す事があるのよ!」と「い」の音を力を込めて発音した。
Uさんは長く外地にいるから日本語の変化に付いて行けない。「息子がアパートを買ったのよ」「えっ?アパート?」「そう。アパート!」「アパートは日本じゃマンションよ。アパートなんて言ったら日本では通じないわよ」こんな会話がしばし続いた。彼女の日本語の語彙は古いのだ。以前の事だけれど我が家に来た彼女が「ご不浄貸して」と言った時の子供達の表情を思い出す。日本ではとうに死語となっている「ご不浄」が子供達には理解出来なかったのだ。春の一日Iさんと3人連れ立って楽しいreunionの日を作らなければ。