お上りさん

この1ヶ月ほど忙しさの中で仕事場と自宅の間を行ったり来たりだけだったが今日は久しぶりに六本木に回ってN子と昼食を共にした。約束の時までに時間があったので高層オフィスビルの中の本屋に寄ってみた。小さい店舗だったが入ってすぐその品揃えが近所の一般本屋と違うなと感じた。この辺りの働く人たちの趣味や読書傾向がなんとなく見えるようだった。N子を待つー彼女はいつも遅れがち。今日は仕事中の休み時間だから遅れても仕方がないがー間に気がついたら3冊も分厚いのを買ってしまっていた。時間つぶしに目の前にあった東京の激変を撮った写真集をぱらぱらとめくってみた。私が娘の頃の穏やかな、ちょっと人間的な東京の建物と冷たいほどに現代化した今が並べて収められていた。そうそう、このガード下辺りにいつもストッキングを修理に持って行った店があったのかな、、、など昔を思い出しながら写真を眺めた。あの頃はナイロンの靴下は修理して履いていた。伝染したストッキングは一目◯円という計算で修理していたのだ。まだ「女とストッキングが強くなった」と言われる前だった。
時間が来て仕事の資料集めに図書館へ行くというN子に放り出されそうになった時自分がこの変貌激しい都心のどの辺りにいるのか見当がつかず「地下鉄はどこ?」とあわてて彼女の背中に向かって訊く始末だった。