今時の日本語

年に一回の健康診断に近くのクリニックへ行った。我が家の家庭医とも言うべき存在の先生には家族中が、熱が出た、風邪で咳が出ると言ってはお世話になって来た。看護婦じゃない看護士の面々もみんな親切で嫌な思いをした事がない。しかし今日は彼女達が使う今時の日本語に考え込んでしまった。私が古い臭すぎるからこんな事にこだわるのかと。
「熱を測ったら体温計をここに置いてもらっていいですか」と彼女は言った。どうして「熱を測ったら体温計はここに置いてください」とシンプルに指示しないのか。何も患者である私に許可を得なくても良いのに。看護士という立派な専門の仕事を持つ人だからこそきびきびと「〜てください」と指示してほしい。「◯◯さん、今度は心電図とレントゲンです。ここで診察用ガウンに着替えてもらっていいですか」「血液採取ですから軽く手を握ってもらっていいですか」「風邪の予防注射をしましたから様子を見るため30分待ってもらっていいですか」最初から最後までこんな調子だった。友人や仕事の関係で会う人たちとの会話ではこうまでも話し方に違和感を持つ事がないのに。改めて日本語の運用に関する本が書店に平積みされていることになるほどと思った。