「戦場のアリア」

Tさんのシネマ通信は面白い。どうしたらこんなに足しげく映画館へ通う時間が出来るのか訊ねたいところだ。新しい通信には今年に入って彼女が観た32本目から37本目までの邦画洋画5本の感想があった。でこれを頼りに私は今日「戦場のアリア」を観た。大体アカデミー賞級の映画は苦手で余り関心もない中ナタリー デセイとロランド ヴィラゾンが歌っていることが興味を引いた。アカペラで歌われる「アベ マリア」、バグパイプに合わせて歌われる「きよし この夜」は私の心に強い感動を呼び起こした。
第1次大戦中の実話だというストーリーは胸を打つものがあって戦争の無意味さを強く感じさせたられた。フェリックスとネストールという2つの名前を敵味方に分かれて闘うドイツ兵とフランス兵からもらい2つの陣地を自由に行き来して生きる猫が印象に残った。クリスマスの夜に戦いを中断して御子降誕の祈りを捧げ、聖歌に耳を傾ける余裕のある戦争は変な言い方だがまだ人間的。21世紀にもし大戦が起きたらそれは人間を滅ぼすだけでなく地球自体をも破壊するものだろう。人間はそこまで愚かだろうか。市井の人は愚かではない。ただ国家を背負った時為政者は愚かな過ちを起こすのだろう。
映画の原題は「ジョワイヨー ノエル」、人に「ジョワイヨー ノエル!」と声をかければ英語の「メリークリスマス!」と同じ意味だ。「戦場のアリア」ではこの映画の意味は余り伝わって来ない。「ジョワイヨー ノエル」とは凄いタイトルだなあと思う。