プレゼント用に包んでください

Y.S.さんからまたメールだ。先週メールで私が IL DIVOを話題にして以来彼女とのメールのやり取りは何と8回にのぼった。彼女は3月頃IL DIVOの魅惑の歌声を知って虜になってしまったそうだがわたしがクラシック一辺倒のファンだろうと思って話題に出来なかったのだそうだ。いえいえ、そんなことはありません。読書だって手当たり次第乱読の私、音楽だってピンと来たら何でもござれ、乱聴である。そしてわたしたちはIL DIVOが歌う曲をひとつひとつ取り上げてはああだこうだと好きな意見を言い合って盛り上がったのだ。
60歳になったとき仕事の主要部分から引いた。これからは自分に忠実に、他の人に迷惑がかからなければ自分を抑えないで生きたいと思った。そしてそれを実行して来た。IL DIVOにしてもファンの大半は私よりずっと若いだろう。それでもいいの、自分が好きならば。そんな感じではまっている。しかし一昨日山野楽器で彼等のDVDを買ったとき自分が発した言葉をちょっと思い出してみた。2階のポップス売り場に行ってみると一番目立つ所に彼等のDVDが置いてあった。私はそれを取り上げ臆せずカウンターに向かった。その時うら若い女性が同じ商品を手にして一歩先んじてカウンターに着いた。彼女の支払いが終わって自分の番が来た時私の口から思いがけない言葉が飛び出した。「プレゼント用に包んでください」咄嗟に発したこの言葉がつい最近責任のある仕事をやり終えた自分へのねぎらいのプレゼントにという意味だったのかそれともいい年をしたおばあさんがIL DIVOを買う気恥ずかしさ故だったのか未だ分からないのである。