新しいテノールに乾杯!

夏の夜のお楽しみはオペラ。藤原歌劇団の「椿姫」を観た。ヴィオレッタはマリエッラ デヴィーア。学んだのも現在の仕事もクラシック音楽関係のAさんのアドバイスで買っておいたチケットだ。アルフレードを歌うフィリアノーティはお勧めと聞いた通りその美声を楽しむことが出来た。わたしにとって新しい声である。イタリアンテノールはずんぐりしていると思いきやすらりとした姿でアルフレードだからステージ上でとても映えた。先日読み終えた「魂の声」でルネ フレミングが述べているように映像に重きを置く時代、声が良ければあとは、、、というわけにいかない。これからのテノールは姿まで気にしなくてはならないのかもしれない。フィリアノーティの声は美しいし伸びもはりもあるしそれに演技もいい。また聴いてみたい歌手だ。一昨年観たデヴィーアはルチアを歌った。今日もあの時と同じように最後はステージの上で死んでしまった。今日は彼女の歌に深く共感できた。その理由は、彼女は良く歌ったし更に劇場と取れたシートにも関係があると思う。新国立劇場中劇場はこじんまりとしまっていて、その上今日の席は自分を十分ステージと一体化できるよい席だったから。第2幕のフローラの広間ではパリオペラ座の若手バレエダンサーが素晴らしい踊りを見せてくれた。夕方新国立劇場に着いた時エスカレーターの4、5段先にタンクトップとジーンズの若い西洋人が2人大きなバッグを肩に立っていたがステージの2人をみてあの人達だと気が付いた。
帰宅していつも留守番の夫に「今日は誰になったつもりでお帰りかね?」と訊かれたのでオペラや映画の鑑賞、読書で自分を深く入れ込んでしまうタイプのわたしは「死んでしまうヴィオレッタは嫌。さしずめこの薄幸の女性を世話する小間使いの気持ち」と答えておいた。