新しい相棒

「来ないねえ」と呟きながら毎日待っていた新しいiPodが到着した。買ったのは私だが私以上に待ちこがれていたのが夫である。午後の予定を遅らせてパッケージを開けるのももどかしく本体を取り出した。白とグレーの色調が上品だ。急いで洗った手のひらにのせて私の新しい相棒を眺めた。
我が家に最初のiPodが来たのは何年前か。5年?アップル社のコンピュータを愛する夫は次々とアップル社の製品を買っては楽しむ。最初のiPodもそんな理由で購入したので彼はなにも音楽を持ち歩きたい程好きだった訳ではない。十分遊んだ後お下がりを私に廻しただけだった。その音楽プレイヤーにハマったのが私。携帯プレーヤーを持っていればいつでも好きな音楽に近付ける。これさえあればどんな事にも勇気を持って挑戦できる程の存在になった。私の音楽の聴き方が画期的に変わったのだった。一日に聴く音楽の量も何倍にもなったと思う。
その我が家第1代目のiPodがとうとう役目を終えるときが来た。そして折よく発売が始まった最新の機種が今日到着した。夫は新しいおもちゃを貰った子供のようにすぐ使い勝手をチェックして写真も取り込んだ。使い勝手は以前の物と基本的に同じだが表示を見ると更に読み易くなっており、リーディング用の眼鏡がないと駄目な眼にも優しい。さあ、これから大変。この機種には動画も取り込めるのだから。当分楽しめる。そろそろ連続使用時間に限りが見えて来たiPod miniとうまく使い分けて行こう。今夜は第1代目のiPodを柔らかい布で丁寧に磨き上げ箱に納めた。私の音楽鑑賞生活に画期的な変化と大きな大きな喜びをもたらしてくれた可愛らしい相棒だったから。