久しぶりの仕事の前気分を少し高揚させようと駅構内の喫茶店でコーヒーを飲んだ。「久しぶり、、、」という声に顔を上げるとそこに十数年前の知り合いがいた。名前はすぐに思い出せなかったが顔はよく覚えている。なんと今日は私の講義を聴きに来たのだと言う。あの頃はお互いに若かったと言うからあれ以来私がどう変わったか今日の講義で判定してねと一言言って私は教壇に立った。講義の後彼の感想は聞き忘れたがあの頃の仲間に送るからとのことで一緒の写真を2枚ばかり撮ってもらってから別れた。長く仕事をしているとこんな事もままある。「あの頃」を思い出して一寸懐かしく楽しい気分になった。
日中のむしむしが収まって日が暮れると静かで落ち着いた秋の夜長。色々忙しく見そびれていたビゼーの「美しいパースの娘」を通して観た。美しい音楽、出演の歌手達の美しい声、それに舞台装置の美しさにオペラの醍醐味を感じた。ヘンリーを歌うワークマンというテノールの細めの明るい声が際立っていた。この人は上背もありなかなかの美丈夫で見る者を楽しませる。わたしはついこの間までヘンリーが歌うセレナーデについては知らず続いて歌われるバリトンのアリアが単独で好きだった。ビゼーの名高いオペラ「カルメン」との関係も知らなかった。少しずつ色々なつながりが分かって来て音楽を聴く楽しみは増すばかりだ。