雲に向かって立つ」

ハード ディスク レコーダにたまっている映像の整理に合わせてドミニク ヴィスのコンサートを聴いた。昔から宗教曲ばかり聴いていた私はずっとカウンター テナーという音域も好きでヨッヘン・コヴァルスキーやドミニク・ヴィスを飽かず聴いていた時期もあった。久しぶりに聴くヴィスはまた新鮮に私の心を打つのだった。ヴィスの歌うマリー・アントワネット作曲という愛らしい曲も大好きだが武満徹が作曲した「雲に向かって立つ」(谷川俊太郎 詩)には気品があって感動した。
昨年暮れと明けてからと2回観るチャンスがあったBBC交響楽団のプロムス コンサート。勿論ディミトリ ホロストフスキーの「カルメン」やロシア民謡に大いに動かされたのだがそれと同時にコンサートの最終章で聴衆が国旗を打ち振りながら歌う「ルール ブリタニア」や「エルサレム」に感動した。彼らには荘重なメロディーを持つ国歌のほかに皆で心を一つにして歌える英国讃歌があるのだと羨ましくなった。そのとき思い出したのが今日聴いた「雲に向かって立つ」だった。この曲にソロの部分と効果的な合唱部分を持つ編曲を施せば、詩は感動的で素晴らしいから日本人が皆で歌える第二の国歌にできるのではないか。