同じ誕生日を持つ人

4分の3世紀近くも生きて来てその間にわたしは自分と同じ誕生日の人に4人出会った。4人目のKさんは最近の講座の出席者で近所に住む人。最初の1人は◯◯クン。中学時代からの幼なじみで同年同月同日生まれのうえ彼の名前に「子」をつければわたしの名前になるという偶然さ。2人目はジュネーブで家族ぐるみの付き合いをしていたイギリス人。再会を果たす前に去年亡くなったが本当にもう一度会いたかった。来週は夫人が東京にやって来る。時間の許す限り夫と相手をしたいと思う。
3人目はまだ若いAさん。3年程前、アルバレス、デヴィーアのコンサートのとき彼女もわたしも一人だったので言葉を交わしたのだった。昨日はその再会約束の日だった。去年はヴェルディの「レクイエム」が休憩なく演奏されたので再会のチャンスを失ってしまった。休憩になるとわたしの席に現れたAさん。3年前のイメージを持って彼女の出現を期待していたわたしの目の前に現れた人はあの時より更に磨きがかかった素敵な女性だった。長かった髪を真っ直ぐなショートヘアに変えてシンプルな単色の服装に返って美しさが際立っていた。言葉は二言三言話すだけで十分だった。記念に写真を撮った。
さてヴェルディロッシーニの「スターバト・マーテル」はムーティ指揮の力強い演奏が聴き応え充分だった。前々日、フィリアノーティはピンチヒッター出演と葉書を貰ったので心配だったが若い、まだ30歳にもならないロシア人代打テノールはよく歌ったと思う。声も良かった。彼の歌うアリア「Cuyus animam...」に満足した。バルチェローナのつややかで堂々としたアルトにも感嘆した。そして東京オペラの森合唱団に心からの拍手。