旧友と再会を果たして

疲れきって今日は一日だらだらしていた。この数日旧友の来日で東京見物を手伝ったのだ。夫と二人東京の様々なところに彼女を連れ出した。去年ご主人を失って悲しみに暮れていたKはパックのお休みを利用して観光を計画した娘の家族とともに東京にやって来た。ホテルで足掛け30年後のお互いを見たときわたしたちの強く固いハグはなかなか解けなかった。そのときわたしはジュネーブを後に帰国する空港での自分たちの姿を思い出していた。娘達はその後帰国してウエールズに住んでいた彼女達を訪ねているがわたしは子育て、仕事で忙しくついぞウエールズに行くチャンスを失ったままだった。
Kはご主人を失って一回りも二回りも小さくなってはいたが昔のままの愛らしさを充分残していた。私たちは銀座を、六義園を固く腕を組んで歩き話し続けた。若い娘の家族とずっと同じ行動は年長故に大変なのは私たち夫婦も同じ。若い孫を2人つれたお嬢さん達と別のメニューを用意してあちこちを訪ねた。東京はー特別な感情も持たずこの町で動き回り仕事をこなし遊んで来た私たちだがー外国からの観光客の目線でみるとなかなか面白いと思った。ユーロが高く折しもパックの休暇の時。沢山のヨーロッパの言葉が町中で耳に届いた。六義園でも銀座の鳩居堂でもフランス語が。鞄が触れたら中年マダムはわたしに向かって「オー パルドン マダム!」Kの2人の孫達は我々日本の高齢者が虜になるiPodを見て翌日早速秋葉原で買ってもらったようだ。16歳の姉はiPod、10歳の妹はiPod miniを嬉しそうに見せてくれた。「ロイ、東京へ来てあなたを忘れた訳ではないけれどちょっと楽しくしているの。ごめんなさいね」「わたしねえ。毎晩主人と心の中で話すのだけれど昨夜はこう言ったの。いろいろ有り難う」と昨夜食事の後別れるときKは明るく笑った。今夜夫はこの数日に撮った沢山の写真を整理してホームページを作り明日西下して更に観光旅行を続行する彼らの留守宅へ送った。