急な雨

スーパーのベンチでキアーラと少しお喋りしてから地下の食品売り場を一巡してすぐ家に向かった。けれど5分もしないうちに黒雲から雨が落ち始めた。雨脚はどんどん強くなって傘も役に立たない。歩道の或る場所は大きな水たまりになったり水が流れていたりでサンダル履きの私はすぐに足元を構っていられなくなった。町内にある透明な電話ボックスには男性がぽつんと雨を避けていた。ちょうどガラスケース入りの人形のようで必死に歩いていた私だがちょっと笑ってしまった。この辺りは一戸建て住宅ばかりだから急の雨でも雨宿りする場所がないのだ。出掛けたと思っていた夫は家にいた。家を出たら額に雨粒がぽつり。昨日降られたから懲りて出掛けるのを止めて読書していたのだそうだ。
彼が読んでいた本はアル・ゴアが書いた「不都合な真実」。すっかり濡れてシャワーや着替えに忙しい私に向かって夫は「異常気象の原因など明快に書いているからあなたも読みなさい」と言う。でも私はいつも忙しいから遠慮しておこう。代わりに顔を突き合わせれば直ぐ始まるこの本に対する夫のコメントで読んだことにするつもり。幾ら読書して理解しても温暖化阻止への小さいことの実行が必要よ、と私は一言。