究極のハーモニー

音楽をこよなく愛するOさんは男性合唱団のメンバーだ。新入社員のときメンバーが足りないからと丸の内の某会社コーラスに誘われて以来合唱と付き合って来たという。今のグループはリタイアしてからの付き合いだそうだ。コーラスの醍醐味を彼はこう説明する。本当にたまな事だけれど歌っている皆の声がびったりと一分の誤差もなくぴったり合う時がある。「その時はコーラスをやっていて良かったと心から思うのですよ」と。その気持ちは分かる。昔私もそれを感じたことがあるから。しかし聴く側に回っている今、自分の声が他と混じり合ってそんな素晴らしい瞬間を作り上げることに参加していないのを残念に思う。それにしても「本当にたまな事だけれど」という表現からして彼のハーモニーに対する評価はかなり厳しいようだ。
IL DIVOを聴いていてどれもこれもコーラスがいいと思う。「ぴったり合った究極のハーモニー」という意味では「Musica」だと思う。前半のソロ、重唱が終わったところ、「Ed il passato in me」を繰り返しながら4人が次々と加わって最後に重厚なハーモニーを作り上げる瞬間が私にとってその究極のハーモニーなのだ。実際のライブではこの曲は衣装替えの時間になっていてハーモニーを楽しむ余裕がなかったけれど。ユーチューブの映像を見ると4人が1人また1人、マイクを取り上げる様子が分かる。そしてCDでこそその究極のハーモニーを楽しむことができる。