思い出の品の整理

色々考えて今まで大切にとっておいた思い出の文書、書簡類を少しずつ整理することにしたとアツ子さんは言う。文を書くことが得意な彼女にとって大切な資料、思い出一杯の親兄弟友人知人からの手紙類の整理。目の前に大きな箱を二つ用意して、一方には処分する物、もう一方には処分しない物を入れる準備はできた。まず古い書簡を手に取る。読み始めたらそのまま遠い思い出に浸って捨てられない。あれもこれも皆処分しない箱に入ることになってしまった。結果は全ての物を古い箱から新しい箱に移し替えただけ。それでアツコさんは考えた。私が死んだら捨てるもの、死んでも捨てないものと改めて二つの箱を用意してもう一度整理に取り組むのだという。結局彼女、今は何も捨てないらしい。電話で話して大いに笑った。