機体のトラブルで

仕事から帰ってメールを点検するとK子からのメールがあった。「成田到着、このまま会社へ行く。最低」最後の「最低」を見たとたんK子の口がとんがっているのを想像して笑ってしまった。ストラスブールでの研修を終わって意気揚々と帰国しようとした彼女を襲ったのが機体のトラブル。予定では昨日の早朝到着して我が家に寄ってそれから都内に帰ることにしていた。そして一呼吸して今日から会社に出る計画だったのに。大きなスーツケースをどこかに預けて取りあえず出社したのだろう。「終わりよければ全て良し」というのに最後にケチがついてしまったようだ。こちらもこれから数日は残り物の整理だ。K子が来るなら私の手作りをといなり寿司の材料、和風の煮物の材料、それからフランスからいいチーズが来るならピッツァだ、と生ハムまで買い込み、トマトソースも作っていた。これからこれらの食材を早めに食べ切らねば。帰りに寄れば色々お土産話も聞けただろうし、何よりも1年を通してもなかなかゆっくり会えない我が子を数時間独占出来たのに。夫はとても楽しみにしていた。しかしK子が出掛ける前に「帰りに寄るわ」と行ったとき私たち夫と私の心の中にぽっと蝋燭か電気か分からないけれど温かい明かりが付いたのだ。それでいい。それだけでいい。