上野でうろうろ

我が家でトンカツを作らなくなって随分経つ。子供たちが伸び盛りのときはトンカツは勿論、時には薄くたたいた牛肉に細かいパン粉をつけて焼くように揚げるウイーン風カツレツやチキンカツなど色々食べさせた。でも今は台所も汚れるし、どうしても食べ過ぎになるので作らない。夫はそのトンカツが食べたかったのだ。今日は上野へ老舗のトンカツを食べに行った。しかし、しかしである。店があるべき所に見つからない。夫は何度か行ったことがあるから場所を間違えるはずがないと言う。松坂屋近辺をぐるぐる回って諦めた。それで老舗のおそばや蓮玉庵に入った。さすがお客もそば好きが集まるのだろう。天ざるを待つ間あちらからもこちらからもそばをすする音が高く聞こえて来た。やがて目の前に置かれたそばをわたしも思いっきり音を立てて喉にかき込んだ。ここには過去何回も来たことがあるのでそばつゆの味もわたしの舌は覚えていた。ただ、そば一枚の量はかなり少なかった。これでは、、、と夫を誘って甘味処「みはし」に入った。甘さを抑えたそばつゆの後、甘い杏あんみつで胃袋が落ち着いた。お給仕の若い女性が「お茶をお注ぎいたします」と完璧な謙譲語で語りかけお茶を注いでくれたのが嬉しかった。